「蟹工船」掲載雑誌『戦旗』

 昨年から話題の『蟹工船』。小林多喜二が2回にわたって連載していた雑誌『戦旗』(戦旗社発行)をエル・ライブラリーは所蔵しています。残念ながら第1回を所蔵していないのですが、第2回目を掲載している1929年6月号(第2巻第6号、p.128-157)が当館にあります。戦前の左翼雑誌を所蔵している図書館は少なく、公共系の図書館でこの号を所蔵しているのは当館だけです。大学図書館での市民の利用は敷居が高いため、古い資料の現物を手に取ることは難しいのが現状です。当館では皆様に直接お手にとってごらんになっていただけます。ただし、かなり傷みが激しいので取り扱いにはご注意を願っています。

 『戦旗』は全日本無産者芸術連盟(ナップ)の機関誌であり、1928年5月号が創刊号です。しばしば発禁処分を受けたため、読者の手元に残ることも少なかったようです。当館には『戦旗』が本号以外に14冊あります。それらは大阪で戦前戦後に活動した「田万清臣」(たまん・きよおみ 1892-1979)という社会大衆党代議士(戦後は右派社会党)が所蔵していたものです。田万清臣は弁護士であり、その事務所に労働者たちが左翼雑誌を隠しにきて自然と多くの図書・雑誌が集まりました。現在、「田万文庫」としてエル・ライブラリー内には貴重な左翼雑誌や書簡、帝国議会演説草稿などの資料を数百点所蔵しています。

 <当館所蔵の関連資料>

  ほか多数 
                                 



蟹工船 其の2 / 小林多喜二[著] p.128-157
掲載誌: 戦旗 第2巻第6号 / 東京 戦旗社 1929.6.1 184p 23㎝ (資料コード 400014940)


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